世界ワルツ紀行
『シャル・ウィ・ワルツ? I』『シャル・ウィ・ワルツ? II』の2枚で、すっかり世界の人気者となった大才子の最新盤。とはいえ映画『シャル・ウィ・ダンス?』で街のダンス教室が息を吹き返したのとは違い、これらとワールド・ツアーのおかげで、流しのワルツ弾きが大勢誕生したという噂も聞かないのが、踊りと音楽との違いか。その音楽は「シュトラウスのワルツの大半は若者が踊って楽しむお祭りやパーティのためのもの」と語るリュウ自身の言葉どおり、“19世紀のディスコティック・ミュージック”としてのワルツ。自らヴァイオリンを手にオケをドライブする様子も、間違いなくウィーン観光名物と化した弾き語りのワルツ・オケとは似て非なるモノだ。さて、ここで取り上げるのは国籍や地域、時代を超えた古今東西の名ワルツ&日本のメロディ「荒城の月」。はてさてそんなあふれるばかりの感性の横溢をどういったらいいものやら……どちらにしろこれが気取って格式張って聴くもんじゃないのは確か。 (佐藤篁之) --- 2002年11月号