SOUP
単なる人間心理や情感の描写に終わらない詩世界と、ノイジーな重さを持ったサウンドを極上のポップスとしてまさに''調理''してみせた、古川本舗の最新アルバム! 前作まで野宮真貴、カヒミ・カリィ、山崎ゆかり(空気公団)大坪加奈(Spangle call Lilliline)、YeYeなど様々なヴォーカリスト達とのコラボレーションを実現し、エレクトロ、アンビ エント、オルタナティブ、ジャズなど様々な世界を「面」として、その多面体な音楽性を表現してきたが、 一年ぶりとなる3rdアルバム「SOUP」は、 若干21歳のシンガーソングライター「キクチリョウタ」をメインボーカルに、歌に重点を置いた作品作りを軸とし、古川本舗ならではのロック感、ポップ感を凝縮した「点」の形で作り上げた濃縮型「古川本舗」と言えるアルバムに仕上がった。既に限定シングルとしてリリースされた美しくも儚い「日常」を描き出す「スカート」、彼の真骨頂とも言える詩的世界をフォークトロニカで彩った「あいのけもの」、MVで巨匠・岩井俊二氏とのコラボレーションを実現した3rdアルバムのリード曲「HOME」、スカート同様に限定シングルとしてリリースする叙情ロック「ストーリーライター」をはじめ、静謐なバラード「東京日和」、「orbital」「枯れる陽に燃える夜は」「emma brown」に見られる変則的なポップサウンド、60年代の空気感も感じさせる佳曲「アン=サリバンの休日」はそれぞれの楽曲に「喪失」や「虚偽の日常」「別離」といったダークなニュアンスを持ったテーマを、古川本舗の最大の魅力である歌''詩''として描きながら、悲しくも絶望的に美しいエンディング曲「SOUP」へと帰着する。それはまるで、一作の悲劇映画を見終わった様な充実と寂しさを伴った余韻を与えてくれるだろう。