「あさっての方向。」オリジナルサウンドトラック
このアルパムの作・編曲者である光宗信吉氏が寄せたライナーノートを読めば、作品 のできあがった経緯や方向性が簡潔に、そして手に取るように分かるのですが、それは アルバムを入手されてからのお楽しみということで。 一般的なアニメのサントラとしては珍しく、収録されている楽曲の多くがピアノをメインと した「ニューエイジ・ミュージック」という方向性でまとめられています。ヒロ兄と椒子さんが出 会ったのは、アメリカのとある古い街のキャンパスという設定でしたが、アメリカでの過去 の出来事だけでなく、いま生活している日本でも、ジョージ・ウィンストンの四季シリーズを 彷彿とさせる調べに乗って物語は進みます。 血のつながらない兄妹と元彼女の、微妙なバランスの上に成り立つ関係という、ともす れば日本的情緒どっぷりなテーマにも関わらず、透明で、優しく、そして暖かいピアノの音 がすっぽり包み込むことによって、最終話まで清々しい気持ちで見ることができました。 必要以上にウエットにならなかったのは、もちろん光宗氏の手腕とニューエイジ・ミュー ジックに絞り込んだおかげです。 サントラとしての完成度も高く、ジャケットやレーベル面のアートワークも、からださんと 椒子さんのモチーフを効果的に使った、とても素敵な1枚です。