Memories Off 6 ~T-wave~ Audio Collection
悪夢のテスト勉強からの開放。 中間テストも終わり、澄空学園高校は既に文化祭の準備へと入っていた。 そんな秋の朝―― 「はぁ……」 溜息を漏らしながら[塚本志雄]はドアを開ける。 そこには幼なじみの[遠峯りりす]が寝ていた。 あられもない格好で寝ぼけているりりすを、渋々起こす……が、その報酬は感謝の言葉ではなく、ローキックと罵声の言葉だった……。 神奈川県澄空市――― 私立澄空学園に向かう通学路。秋は深まり、枯葉が道を彩っている。 いつもと変わらない風景。 幼馴染と歩く通学路。 「りりす……昔は可愛かったのになぁ」と、思い浮かべる志雄。 幼い頃は志雄の後から付いてくる感じだったりりす。 しかし、しばらく親の都合でこの土地を離れ、再び戻ってきたりりすは随分と我侭な性格になっていた。 面倒見の良い志雄は、文句を言いながらも下僕一号のような扱いに……。 クラスメイトたちにもそれは知れ渡っていて、「将来、いい奥さんになれるよ」などと言われる始末。 そして、そんなりりすの存在のせいもあって、これまで"彼女"など縁遠い存在であった。 その日、りりすに隣のクラスの[箱崎智紗]を紹介される。 先日までは『地味』な外見だった智紗は、大胆にイメージチェンジをしていた。 「今度の後夜祭……一緒に踊ってもらえませんか?」 後夜祭で一緒に踊る。それは、近年の澄空においては告白と同義だ。 戸惑う志雄。 複雑な表情を見せるりりす。 三人の時が、秋風に吹かれて動き出す―――