poco A poco
以前『dolce (DVD付)』のレビューで→を書きました。「音は硬く、粒が揃っていません。しかも、そういう演奏法やピアニストの個性というわけではなく、ピアノを自分のものに出来ていないという感じ。しかし、松下奈緒さん自身の音を誠実に模索している様子や、柔らかくて優しくて穏やかな人柄が伝わってくる演奏でした。(伴奏は上手い)プロデューサーやスタッフの力量や、大島ミチル・松谷卓・GONTITI・羽毛田丈史…等の楽曲提供や演奏のサポートのおかげか、とても聴き心地が良い完成度が高いヒーリング/イージーリスニング/ニューエイジになっています。」この感想は、ピアノ曲に関しては全く変わっていません。今回はジャズを取り入れてポップ路線も模索しているみたいですが、クラシックやヨーロッパ映画のサントラのような音楽を極めるタイプじゃなさそうなので、曲調の幅が広がるのは良いんじゃないでしょうか。 問題なのは歌。歌唱力は、上手くないけれど、『Moonshine~月あかり~』のレビューで酷評されるほど酷いとは思いません。しかし、東京音大を卒業しているだけあって素養は有ると思いますが、声質は恵まれているとは思えませんし、それを補える圧倒的な歌唱テクニックや表現力や個性にも欠けているように感じます。更に厳しいことを言えば、「何としても歌いたい」というよりは「とりあえず歌に挑戦してみよう」という感じがします。 ピアノ曲は良いんですが、歌は聴きたくありません。今度アルバムを出す時は、ピアノ曲ならピアノ曲、歌なら歌で全曲統一して欲しいです。