続?ふしぎ工房症候群 EPISODE 4「兄からの手紙」
話題のオリジナル朗読CDシリーズ続編第四弾! 人気声優・神谷浩史の語りで、家族とのすれ違いから家を飛び出し、障害事件を起こした主人公が、出所を迎えた日、兄からの「最後の手紙」を受け取り、更正していく姿を描く!! <物語> 酔った上でのつまらない喧嘩で、相手を刺した。障害事件として収監された僕は、ただ呆然と日々を送っていた。束になって封も切られずにたまっている手紙の束──週に一度送られてくる兄からの手紙だ。 「元気にしてるか?」「出所まで頑張れよ」「からだを大切にな」 手紙の内容は決まってこう書かれている。最初のうちは目を通していたが、今は読む気さえなくなっていた。 それに手紙はこの半年、ぷつりと止んでいる。一度も返事を出していないせいだろう。面会も拒絶していたから。収監されてそろそろ三年になる。出所の日が近付いていたが、どうせ世間に戻ってもろくなことはないだろう。 それに兄だけには会いたくない。こんな惨めな姿を見られたくない。 それが、僕に残された最後のプライドだったから── ふと幼い頃を思い出す。僕たちは仲の良い兄弟だった。それが、いつの頃からか変わってしまった。どうしてこんなことになってしまったのだろう? 理由はわかっている。僕が駄目な人間だから…… 家を飛び出し、大人になった今も、僕はずっと駄目な人間だった。 そして、これからもずっと……