Coincidental Music
1984年に始まった細野晴臣の観光音楽シリーズの第1弾は『マーキュリック・ダンス』で、戸隠レコーディングと東京レコーディングとで構成された、陰陽五行を骨格にしているというアルバム。第2弾の『パラダイスビュー』は、同名の16ミリ映画に使われた音楽で、これは沖縄への観光。そしてこの第4段『コインシデンタル・ミュージック』は、CMとして使われた曲による構成になっている。この3点のアルバムからは、コンセプトのみが浮遊し、肉体と切り放された音の連続といった印象しか受けない。その意味では、細野晴臣の意図は成功しているようだが、一方で、いろいろな解説やキャッチ・フレーズがなければ成立しそうもない音楽という印象もある。