LUPIN THE THIRD JAZZ ー the 2nd
ジャズとしては異例の大ヒットを記録した「JAZZ」シリーズの第2弾。 大野雄二(ピ アノ)、鈴木良雄(ウッドベース)、村田憲一郎(ドラムス)の大野雄二トリオに、 全10曲中4曲で3人のゲストヴォーカリストが参加して、英語バ-ジョンのルパンソングを歌っている。2曲を歌うルパンの歌姫リレット、メインテーマを歌う黒人女性シンガー、シンシア・デュベリーとともに、本作の直後にソロとしてブレイクするフリュ-ゲルホルン&ヴォーカルのTOKUが『Tresures Of Time(炎のたからもの)』を歌唱しているの にも注目。 「ルパン三世」「犬神家の一族」「人間の証明」「小さな旅」「水もれ甲介」などを手掛け、作曲家としてあまりにも有名な大野雄二のトリオによる「ルパン三世」の楽曲を取り上げたれっきとしたジャズ・アルバム。 ジャズのCDとしては近年稀にみる好セールスを記録した大ヒット作だ。確かにルパン効果のタマモノであるがゆえに、眉をひそめる方がいるのも事実であろう。しかし、現在の日本のジャズ・ライヴ・シーンにおいて、最も若者から、一般層まで支持を得ているジャズ・ピアニストであり、実際にルパンの音楽を作曲しているのは彼自身なので、文句のつけようもあるまい。 何より、言い過ぎかもしれないが、今や日本においてひん死の状態にあるといえるジャズミュージックにとっても、日本に深く根付いてしまった、「音楽をジャンル」という枠組みでくくろうとする妙な既成概念をぶち壊し、純粋に音楽を楽しむためにも、彼のような存在が必要なのではないだろうか?(高山武樹)