I’M HERE~永遠の詩~
こういうアルバムをつくることができるアーティストは幸せです。自分が唄いたい曲を、自分の好みのテイストで唄い、1個の作品に仕上げるというのは、歌唱力があるからこそ可能なもの。シンガー白鳥英美子の実力がストレートにそして包み込むように伝わってくる力作だ。 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より) トワ・エ・モアとしての活動も並行している白鳥英美子のソロ・アルバム。白鳥の子供時代から慣れ親しみ、憧れていた洋楽カヴァー曲を収録。彼女のライヴではすっかり御馴染みになった「Amazing Grace」ほか、「Summer Time」などスタンダードなポップスを中心に白鳥の透明感あるソフトなソプラノで歌い上げている。とくに印象深いのは、「Amazing Grace」でコーラス隊をバックにしたゴスペル風の白鳥のヴォーカル。黒人霊歌やクラシックのソプラノとは異なるポップな白鳥のヴォーカルによって、歌の風景が一変してしまう。いわば、瑞々しい新緑の葉をたたえる、高原の白樺林を流れるそよ風だろうか。 ジャニス・ジョプリンの「Summer Time」のように、そのシンガーが歌うことでスタンダード化した歌世界があるように、白鳥英美子によって、歌われることで標準化された歌もあることに気づく。歌い手や作り手を離れて、初めて歌は命を宿すと言われているが、まさにそうした歌の在りようを見る。 (小林泰介) --- 2002年12月号