上を向いて歩こう/遠くへ行きたい
2001年にリリースされたさだまさしの好企画盤で、昭和の往年のヒット・メーカー「六・八コンビ」と呼ばれた永六輔・故中村八大が作られた名曲からさだの愛する6曲をセレクトしてカヴァーしたミニ・アルバムです。6曲で収録時間がわずか20分とアップテンポで非常に短い曲が多く、さだ本来の歌の速度よりは速目でいつもよりせっかちに感じられますが、そこが新鮮にも感じられるでしょう。『上を向いて歩こう』御存知日本人の曲としてアメリカで唯一の一位を獲得した永遠の名曲です。『黄昏のビギン』当時としてはモダンな曲調で、雨中のデート風景を歌うロマンチックな大人の名曲です。歌の性格は違いますが、さだの名曲「雨やどり」が思い浮かびます。『おさななじみ』甘い初恋から結婚までの人生を歌ったシンプルな名曲で、さだが「親父の一番長い日」で12分半も掛けて作った世界を、わずか2分半で表現しています。『帰ろかな』故郷を歌って郷愁が呼び起こされる感動的なメロディーで、さだのヒット曲「案山子」や「寒北斗」に影響を与えているでしょう。『故郷のように』さだの故郷を捨てて別れてゆく男女を歌った曲「安曇野」や「赤い月」のテーマに沿った原点の歌に思えます。「山や海がいつまでもあるように、あなたの愛もいつまでも」という歌詞に「防人の詩」が連想されます。『遠くへ行きたい』旅をテーマに歌った曲として、さだが永遠に越えられないと語る名曲です。さだには「ひき潮」という帰る為の旅を歌った渋い名曲があります。さだが作る歌にも共通する、決して新しくはないけれど永遠に古びない輝きを放ち続けるエヴァーグリーンの名曲の数々を歌い上げた本アルバムは、何時の時代に聴いても新鮮で魅力的な愛すべき好盤だと確信致します。