空の下で
これは女性が主人公でしょうか。まじめなんだけど、どこかかたくなな感じでもあった主人公が人生をあらためて発見したようなシチュエーションでしょうね。きっかけは恋かな。人は生まれたらそれで生き始めるわけではなくて、心理的に人生を発見してようやく本当に生きることを始めるのだと思います。 その、発見する人生というのは、さりとて特別なものではなく、平凡な日常が続くような、ある意味幻滅的な人生であるかもしれない。 そういった茫漠とした未来に気がついて、ふっと肩の力が抜けるようでもあった。 彼女が涙を流したのは、彼と別れたときではなくて、出会ったときだったかもしれない。彼は彼女に比するとやや激しい性格だったかもしれない。情熱的というよりは、やや焦りをもったような。なにかにぶつかっていてはくじけているような。でも、落ち込むことはあっても、内省して枯れていくようなタイプではないだろう。 彼女は恋をしたとき、なぜか本当のような孤独に気がついた。矮小さを感じるようでもあったが、周りの社会などがあらためて目に映るようでもあった。 彼女が出会ったのは恋ではなくて、ありふれたような自分の人生だったかもしれない。それは何かの終わりでもあった。でも彼女は本当に生きることを始めたのだと思う。