風街ろまん
1971年のセカンド・アルバムで、言わずと知れた日本ロックのマスターピース。「風をあつめて」「はいからはくち」「夏なんです」といった代表曲がそろい、演奏、ヴォーカル、ソングライティングのいずれも前作より完成度が高く、彼らの到達点といえる作品。歌詞は“~なんです”という独特の言い回しを多用して、文学的な表現に磨きがかかっているし、演奏にしても、後のティン・パン・アレー~ジャパニーズ・ソウルに通じる、ほのかに揺れるグルーヴ感がすでに散見される。ヴォーカルも大滝詠一が流麗でウェットな声を聴かせ、細野も朴訥(ぼくとつ)とした味の歌で活躍。各メンバーとも個性を十分に発揮し、それらがからみ合って、夏の陽炎のような白くまぶしい音像を生んでいる。日本語によるロックの確立というだけでなく、そうした独自の音世界を築いたところに、本作の価値がある。だからこそ名盤として受け継がれ、数え切れないほどのフォロワーを生んだのだ。(小山 守) メディア掲載レビューほか 細野晴臣、松本隆、大瀧詠一、鈴木茂による1971年録音のアルバム。アサヒビール『発泡酒 あじわい』CMソングを収録。