PULSE×PULSE
12年ぶりに復活したスティーヴ・ジャンセンとのコラボレーション・ユニットのアルバム。ここしばらくは表に出てこなかった幸宏氏のユーラシア大陸を俯瞰したようなモダーンなロックが好きだった人には,たまらなく嬉しい贈り物。ワタシも大好きです。 高橋幸宏とスティーヴ・ジャンセン。この2人は、高橋がYMO、スティーヴがジャパンのメンバーだったころから交流を深めてきたが、そんな両者のユニットの第1弾。(4)(6)では高橋が自らヴォーカルをとっているが、そのほかの曲にはソニアとゾエという女性歌手が起用されている。手元の資料を見て気になったのは、“スペシャル・サンクス”の欄に在英インド人音楽家であるタルヴィン・シンの名前が見受けられること。というのも、(2)は彼が編纂したコンピレーション『ANOKHA』(日本未発売)に触発されたと思しきドラムンベースだからで、ソニアの歌はインド風味を漂わせている。もっとも、ドラムンベースはこの(2)のみで、あとはミディアム・テンポのポップ・チューンである。音作りは端正。しかもゾエの歌声はよくも悪くもアクがないので、淡泊という印象を受けるが、高橋とスティーヴの両人はともにドラマーだけに、リズムの心地よさは格別だ。 (渡辺亨) --- 1998年01月号