Fourth wall
THE NOVEMBERS半年振りのミニアルバム「Fourth wall」。 初めて聴いた時、あまりのポップさの無さに若干面食らったほどディープでコアなアルバムである 今までのノーベンバーズは激しい曲でもどこかメロディが派手だったりして一定の聴きやすさは保っていたと思う しかし今作ではそういった派手さやキャッチーな要素を削り落としてまで冷徹で無機質な音像を貫いてる 激情、というよりは淡々と静かなる憤りが伝わって来る感覚で そういった意味では温か味のあった前作と比べて正に対になっている印象のユニークな作品に仕上がっています。 キャッチーさを棄てている過剰なまでにストイックで闇の要素の強いアルバムなので 正直一発で大好きになれた前作と比べると馴染むまでに何度も通して聴く必要があったのが個人的な本音だが その分馴染めば馴染むほどこのアルバム独特のひんやりとした質感がハマって来て 今では全曲好きなアルバムになってしまったのもまた本音である 今までの作品の中でも入り口が狭い方だとは思うが だからこそ肌で理解出来た時のカタルシスは今までにも劣らないくらい大きい・・・そういう類の作品になっていると思う 音はグシャッとしてるが冷徹な感情表現にゾクッとする「dogma」、 イントロの時点で最高に気持ちが良いクールなアッパーチューン「primal」、 神妙でどこか懐かしいアレンジに心酔出来る「Fiedel」に無機質さと絶唱が絡み合う「Observer effect」、 そしてただヒリヒリしてるだけでは終わらせない組曲「Dream of Venus~Children」の流れも全体が引き締まって良い 聴いて直ぐにアガったり良い気分になれる即効性は薄いがその分内側からジワジワと良さが伝わって来る そういった奥行きに関しては今まででも群を抜いて高い作品になった。 取っ付き易さはないが、聴く価値は十分にあると思う。個人的にはまたも大切な作品がひとつ。