故郷熱情
上海というのは本当に不思議な街だと思う。中国で最も賑やかな喧噪、黄河の砂混じりの水道水、北京語とは全く違う上海語の響き・・・・・・。おそらく日本よりも古いものと新しいものが混在していて、独特の雰囲気を漂わせている。最近では旅行社がこぞって上海を宣伝しているが、本当の上海はもっと庶民的でたくましい。観光スポットが少ないので日本人は1泊ぐらいしか滞在しないが、これを機会に2泊、3泊して街を歩き回り、その魅力を堪能してもらいたい。観光バスの車窓からは感じられない世界がそこにはある。 さてこのアルバムだが、前作と同様、中国曲を使わずに中国を描くというコンセプトを貫いている。しかも上海録音というのもおもしろい。おすすめは1曲目の「黄昏のワルツ」。二胡のアンサンブル曲が少ない中、哀愁を帯びた加古隆氏のメロディが心を打つ。2002年9月16日のフジテレビ「情報プレゼンターとくダネ」で小倉智昭氏が絶賛していた「北の国から」も異色である。(10月11日には生放送で出演。) 日中国交回復30周年記念盤で、姜建華の「故郷に錦」を味わおう。