GUERNICA IN MEMORIA FUTURI~ゲルニカ20周年記念盤~
80年代東京ニューウェーヴ・シーンの中でも、戦前前衛芸術とテクノポップ、そしてシャンソニエ風という異色の融合を果たしたゲルニカ。その音楽は今聴いても斬新(ざんしん)で、どこか残酷なユーモアにもあふれる。大体がピカソの反ナチズムの傑作からユニット名を拝借しているにもかかわらず、上野耕路と太田螢一ルックスはナチのそれに酷似しているし、戸川純はマレーネ・デートリッヒのようである。しかし、そんな矛盾や諧謔が楽しまれた時代の音楽は、やはり豊か。3つのテーマから成る3枚のディスクには、未発表音源やライヴも収録されており、その堂々たるシュールレアリスティックぶりは生でも凄まじい。今、ここまで濃厚で異形のポップはないのでは!?(石角友香)