紅の天地 青の流都
――― 世界名【ネルヴァニカ】の少女【フルルティ】は、物心ついたころから丸いガラスの鉢を託されていました。それは、お母さんがそのまたお母さんから貰ったという大事な大事な青い鉢。決して傷つけてはいけないこと、肌身はなさず持っていることを約束して、彼女は今日もそれを抱えて遊びに出かけます。 ある日、いつもの枯れ谷で遊んでいたフルルティは、出入り口が無いはずのガラス鉢の中から顔を出した、トカゲのような生き物に出会います。実は、その鉢は砂漠の世界【ネルヴァニカ】からほとんど消えうせてしまった青い水が閉じ込められた異世界【トラロック】そのもの。そこからやってきた不思議なそれは人間の言葉を喋り、おまけに初対面だというのに彼女の名前を呼びました。予期せぬ突然の出会いでしたが、偏狭の地に両親と3人で暮らしていたフルルティと、竜族に敬遠されているという人語を解する竜【エリオス】が仲良くなるのに、時間はかかりませんでした。 共に遊び、互いの世界について語り合い続けたフルルティとエリオスは、いつしか【ネルヴァニカ】と【トラロック】が元々1つの世界だったことをつきとめます。枯れゆく大地と閉じ込められた竜達を助けるため、2人は相反する世界の再同化を望みました。 小さな子供たちに願われた【あるべき世界】は、元の形に戻れるのでしょうか。