CROSSING
バンド結成15周年という記念すべき年に相応しい新たな名盤が誕生。前作『Bouquet』から2年半、フルアルバムとしてはなんと4年以上ぶりにリリースされるbohemianvoodoo(ボヘミアンブードゥー)待望の作品は『CROSSING』と名付けられた。 どこか懐かしさを感じる音色、いつの間にか口ずさんでしまう親しみがありながら美しいメロディ。どの楽曲を聴いてもその情景が眼前に広がっていくかのよう。今作ではより重厚感を増したリズム隊がボヘの音楽の深化を窺わせる。 力強く刻むイントロが印象的な②「Regal Grace」は、生命への讃歌の如く私たちの背中をぐっと押してくれる。雰囲気ががらりと変わり、浮遊するフレーズが壮大なサウンドスケープを描いていく③「Mystic」。花火がぱっと夜空に咲くように華やかなメロディラインが舞い踊る⑤「華火夜景」、続く⑥「雨晴」も王道のボヘ節の光るギターとピアノの掛け合いが鮮やか。⑦「Cradle」は2010年リリースの1stアルバム『Lapis Lazuli』に収録された楽曲の再演。新たなアレンジでボヘの音楽的成熟を感じる、往年のファンにも嬉しい内容。⑧「Bayfront Avenue」も初期のボヘを感じさせるような、フュージョン色の濃い爽快なグルーヴが心地良い。優しく語りかけるような歌心溢れるタイトル曲⑩「Crossing」。どれを聴いても粒揃いの名曲が並ぶ。 10曲を聴き終わったあとの清々しさ。素敵な風景に出会ったような、そんな気分を味わってほしい。余韻でもう一度再生ボタンを押したくなる、そんな作品が名盤だと思う。『CROSSING』はもう一度、いや何度でもこの音世界を旅したいと思える傑作。一期一会の日々の中で一際優しくあたたかい色を放つ、そんな音楽はきっと一生もの。