Covers No.1
透き通る声、高音にみる厚み。やや低めの音階を伝うサウンドとの高低差は心地よさを覚える。歌は力強くとも威圧感はなく、耳元を抜けるようにすんなりと流れていく穏やかさ。カバー曲が流行って久しい。これまでに多くの歌手が名曲たちに新たな息を吹き込んできた。彼もそのうちの一人。だが他の歌手とは異なる優しさが歌から伝わる。熱すぎず冷めすぎず。収録曲はどれもヒット曲ばかり。それ故に曲に押しつぶされてしまう事も時にはあろう。しかし、この作品の場合はオリジナルへの敬意を示した上でしっかりと自分の曲へと仕上げている。カバー曲の最大の魅力である、同一アーティストによる歌唱の統一感。それが活かされているのである。 ■オリジナルを壊さないように この作品は、村田亮(35)率いるアコースティックユニット、 CoralRddf(コーラルリーフ)初のカバーアルバム。以前からライブで演奏し、音源化を希望する声が多かった楽曲を中心に作品に収めた。作品には作者の想いが反映される。作者の村田はブログで以下の通りに綴っている。「全て素晴らしい楽曲のため、僕自身もオリジナルを壊さないよう心を入れて全力で歌わせて頂きました。とても想いの入ったアルバムになったと思いますので楽しみにしていてください」(8月17日付、マスタリング終了を控えて)。「この1カ月ほぼ缶詰状態で歌いまくりました。いや~みんなに聴いてもらえる日が楽しみです。ストリートとはまた全然違う聴き応えがある最高のアルバムが出来ました」(8月1日付、レコーディング終えて)。その想いに尽きる作品だ。