engagement
私は「ブックエンド」や「members only」ではサウンド面でも奈保子のボーカル・歌唱法でも(良い意味で)相当困惑していたクチである。そんな私は今作の、特に最初の2曲では相当の、いや河合奈保子を聴いてきた経験上これ以上無い程の衝撃を受けた。「Traveling Life 」…最初いったい誰が歌っているのかとさえ思ったこの曲は余りにもポップ過ぎて声色が明るいとか前向きとか、そういう次元を超えて、古い表現で言うと「飛んでる」なのだ。次の「言葉はいらない~Beyond The Words~」…こ、声が若い、カワイイ過ぎる!!このカワイイ過ぎる歌声はアイドル初期にタイムスリップしたようだった。この感覚は何度聴いても衝撃を受け続けている。 という訳で、自身落ち着いて?聴けるのは3曲目からなのだが、とにかく詩曲もアレンジもそっちのけで奈保子さんの歌声に聴き入ってしまう。何だか?意味深なことを歌っている曲もあるのだが…。そんな風に正に奈保子さんの歌声のためだけに聴いてしまう、このアルバムなのだが、あらためて思うのは声の伸びやかさに、元々定評のあった中・低音域に加えて、更に兼ね備わった「高音域の」表現力というものが絶妙というか、これは80年代の初期のアルバムと聴き比べても格段に表現力が増して聴き応えがある点である。このアルバムにおいて想定しているだろうコンセプトも何も、聴き手には歌声で始まり歌声で終わるのである。最高レベルの歌唱力と共に備わる変幻自在のボーカルのインパクトは余りにも強かった、そう言いきれる。