Antinomy
冒頭“The Only Way”から生々しい音塊がボコボコ殴り合っているかのような、震えがくるほどの威圧感。改めてブラフマンの本質はここなんだと確信した。特に前半の流れは圧巻。 “Handan's pillow”や“Speculation”といったシングルや代表曲を生ぬるいと感じて録り直し、ミニバンで他のバンドが行かないような僻地を回り、考えに考え抜いて道を選び取って……そこまでしなくても彼らほどのバンドなら曲なんて幾らでも作れるのに、そこまでしなければ彼らは進めないし進まない。それは、彼らがブラフマンはブラフマンによってしか更新できないということに、絶大なる自負とプレッシャーを常に感じているからだ。 凡百のバンドのように「バレる」のが怖くて余計な音を重ねていないから、昨今のサウンド・プロダクションに慣れた耳には意外と音圧の低いなという印象を抱く人もいるかもしれない。けど、このハードコアの本質を貫くストイシズムの極北は是非体感して欲しい。(By Van Damme (東京都) )