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ふしぎ工房症候群 EPISODE 11「闇」
<物語> 素行が悪く問題を起こして高校を退学になった俺は、居場所を求めて都会に出た。しかし、そこには非情なまでの厳しい現実が待っていた。学歴もなく保証人もいない俺はろくな職にありつけず、肉体労働の日々を送るのが精一杯だった。 酒に溺れ、その日暮らしの生活に疲れ切っていた俺は、ある日、街でホストクラブにスカウトされる。今までに見たことのない華やかな世界──俺の人生観が変わった。 下積みはしなければならないものの、俺はここでのし上がっていくことを決意する。努力次第でいくらでも金が手に入る。月一千万という信じられない額を稼ぐNO.1に憧れ、テクニックを盗み、失敗を繰り返しながら、猛烈に勉強した。そして、世の中、感のいいやつだけが生き残れる、ということを学ぶ。冷静さ、洞察力、計画性を磨き、客相手に疑似恋愛を演出する。それが最大の武器となった。 そして二年も経たった頃、俺はついにNO.1の座を獲得する。 ところが、有頂天になった俺は、いつしか薬物に手を出し、禁断症状に苦しむようになる。悪夢にうなされる日々。成績も下降の一途をたどる。 もう俺に未来はないのかもしれない。しかし、他に行く場所がない……無気力な毎日を過ごす俺の前に、ある日、ごくありふれた“普通の女”が現れる。客として店に来た女だったが、ふいに映画を観に行こうと誘われる。 最初はくだらないと思ったものの、お茶、映画、食事と普通のデートをするうちに、それに新鮮さを感じている自分に気付く。 しかし、デートの帰り道、突然また禁断症状が俺を襲った──