8 bit darling project; DELUXE
完成品を楽しむだけでなく、モノ作りの過程にも参加する消費者を、未来学者アルビン・トフラーは「プロシューマー(生産消費者)」と名付けた。近年、アパレル界でのユニクロの台頭は、洋服をファッションではなく、ユーザーに完成を委ねるパーツとして販売した事が成功の一因とされている。まさに新時代の消費者の心をとらえたのだろう。 音楽シーンにおいても、音声合成ソフトのボーカロイド、初音ミクの誕生により音楽プロシューマーの台頭が始まりつつある。本作『8 bit darling project ; DELUXE』は、胸キュン・ガーリー・ハウス・ユニット、Sweet Vacationの新曲の完成を外部クリエーターに一切をゆだねるという画期的プロジェクトとしてスタートした。まずは昨年末に楽曲素材である「歌詞」、「トラック」、「サウンドマテリアル」、「楽譜」、「MIDIデータ」を無料で公開し、Crypton Future Mediaの特設サイトにてクリエーターを募集。さらに、ボーカロイドでの実演に限り、著作権管理事業者である株式会社ジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)との協議により、音楽ファンが著作権使用料を気にすることなく、動画投稿サイトや個人のBlogなどの非商用サイト/サービスにおいてアップロードが可能となる異例のスキームを確立した。いわば外部クリエーター(プロシューマー)に音素材&ボーカル・エディット、WEBでの発表方法を預け、本体不在のリプロダクションという奇想天外なカバー&リミックスが誕生することになった。トライアルしたクリエーターの数だけ「Sweet Vacation×初音ミク」による新曲が、それぞれのスタイルで誕生したというワケだ。 優秀作品がコンパイルされたミニアルバム『8 bit darling project』は、今春、全国TSUTAYA1,300店舗で先行レンタルを実施し話題を集めた(全国各店舗のアルバムチャートで軒並みランクイン!/店内でも定期的にオンエア)。なお、音楽配信iTunesストアでも先行 配信され、ダンスチャートで見事1位を獲得。結果、CD化の要望が高まり、ついに本作は『8 bit darling project ; DELUXE』と名付けられ、全国流通発売されることになった。なお、楽曲はゲスト・アーティストの参加で11曲に増え、アートワークやパッケージも強化された『豪華盤』としてのリリースとなる。