[00:00.00]90听音乐网 www.90T8.com [00:00.50]杉田智和 - 柠檬 [00:08.80]柠檬 [00:10.20]梶井 基次郎 [00:14.02]いったい私は [00:15.86]あの柠檬が好きだ [00:18.78]レモンエロウの絵具を [00:20.51]チューブから绞り出して [00:21.91]固めたような [00:23.30]あの単纯な色も [00:25.60]それから [00:27.00]あの図たけの诘まった [00:28.82]坊制形の恰好も [00:32.58]结局私は [00:34.13]それを一つだけ买う [00:35.43]ことにした [00:37.94]それからの私は [00:40.14]どこへ [00:41.22]どう步いたのだろう [00:44.58]私は长い间街を步いていた [00:49.88]始终 [00:51.44]私の心を圧えつけていた [00:53.28]不吉な块な [00:55.49]それを握った瞬间から [00:58.19]いくらか弛んで [00:59.13]来たとみえて [01:01.29]私は [01:02.97]街の上で [01:04.44]非常に幸福であった [01:08.13]あんなにしつこかった忧郁が [01:10.92]そんなものの一颗いっかで [01:12.54]纷らされる [01:14.79]あるいは不审なことが [01:16.90]逆说的なほんとうであった [01:21.34]それにしても [01:22.98]心というやつは [01:25.18]なんという不可思议な [01:26.37]やつだろう [01:29.38]その柠檬の冷たさは [01:31.85]たとえようもなくよかった [01:35.36]その顷私は [01:37.20]肺尖を悪くしていて [01:39.59]いつも身体に热が出た [01:42.60]事実友达の谁彼に [01:45.26]私の热を [01:46.65]见せびらかすために [01:48.50]手の握り会いなど [01:49.58]をしてみるのだが [01:52.10]私の掌が [01:53.95]谁のよりも热かった [01:57.02]その热いせいだったのだろう [02:00.34]握っている掌から [02:02.41]身内に浸み透ってゆくような [02:04.93]その冷たさは [02:06.84]快いものだった [02:10.28]私は何度も何度も [02:13.34]その果実を [02:15.01]鼻に持っていっては [02:16.34]嗅かいでみた [02:19.16]それの产地だという [02:20.37]カリフォルニヤが [02:22.02]想象に上って来る [02:26.21]汉文で习った [02:27.90]「売柑者之言」の中に [02:29.20]书いてあった [02:31.18]「鼻を扑うつ」という言叶が [02:33.55]きれぎれにかんで来る [02:36.38]そして [02:37.47]ふかぶかと胸一杯に [02:39.95]匂やかな空気を吸い込めば [02:43.07]ついぞ [02:44.42]胸一杯に [02:46.04]呼吸したことのなかった [02:47.74]私の身体や颜には [02:49.79]温が血のほとぼりが [02:51.56]升って来て [02:53.45]なんだか [02:55.35]身内に元気が [02:56.06]目覚めて来たのだった [02:59.84]実际 [03:01.34]あんな単纯な冷覚や [03:03.10]触覚や嗅覚や视覚が [03:06.50]ずっと昔から [03:08.48]こればかり探していたのだと [03:10.51]言いたくなったほど [03:12.22]私にしっくりしたなんて [03:15.61]私は不思议に思える [03:18.93]それが [03:20.05]あの顷のことなんだから [03:24.15]私はもう [03:25.72]往来を軽やかな [03:26.94]昂奋に弾んで [03:29.18]一种夸りかな気持さえ [03:31.57]感じながら [03:33.92]美的装束をして [03:35.16]街をかつぽした [03:36.46]诗人のことなど [03:37.54]模样べてば [03:38.98]步いていた [03:42.13]酔われた手拭の上 [03:44.04]卢せてみたり [03:45.16]マントの上 [03:45.84]あてがってみたりして [03:48.14]色の反映をはかったり [03:50.66]また [03:51.69]こんなことを思ったり [03:55.47]つまりは [03:57.07]この重さなんだな [04:00.23]その重さこそ [04:01.67]常づね寻ね [04:02.44]あぐんでいたもので [04:04.98]疑いもなく [04:06.56]この重さは [04:07.63]すべての善いもの [04:09.99]すべての美しいものを [04:12.25]重量に换算して [04:13.17]来た重さであるとか [04:15.96]思いあがった [04:16.77]谐谑心から [04:18.48]そんな [04:18.89]马鹿げたことを [04:19.88]考えてみたり [04:23.25]なにがさて [04:25.55]私は幸福だったのだ
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[00:00.00]90听音乐网 www.90T8.com[00:00.50]杉田智和 - 柠檬
[00:08.80]柠檬
[00:10.20]梶井 基次郎
[00:14.02]いったい私は
[00:15.86]あの柠檬が好きだ
[00:18.78]レモンエロウの絵具を
[00:20.51]チューブから绞り出して
[00:21.91]固めたような
[00:23.30]あの単纯な色も
[00:25.60]それから
[00:27.00]あの図たけの诘まった
[00:28.82]坊制形の恰好も
[00:32.58]结局私は
[00:34.13]それを一つだけ买う
[00:35.43]ことにした
[00:37.94]それからの私は
[00:40.14]どこへ
[00:41.22]どう步いたのだろう
[00:44.58]私は长い间街を步いていた
[00:49.88]始终
[00:51.44]私の心を圧えつけていた
[00:53.28]不吉な块な
[00:55.49]それを握った瞬间から
[00:58.19]いくらか弛んで
[00:59.13]来たとみえて
[01:01.29]私は
[01:02.97]街の上で
[01:04.44]非常に幸福であった
[01:08.13]あんなにしつこかった忧郁が
[01:10.92]そんなものの一颗いっかで
[01:12.54]纷らされる
[01:14.79]あるいは不审なことが
[01:16.90]逆说的なほんとうであった
[01:21.34]それにしても
[01:22.98]心というやつは
[01:25.18]なんという不可思议な
[01:26.37]やつだろう
[01:29.38]その柠檬の冷たさは
[01:31.85]たとえようもなくよかった
[01:35.36]その顷私は
[01:37.20]肺尖を悪くしていて
[01:39.59]いつも身体に热が出た
[01:42.60]事実友达の谁彼に
[01:45.26]私の热を
[01:46.65]见せびらかすために
[01:48.50]手の握り会いなど
[01:49.58]をしてみるのだが
[01:52.10]私の掌が
[01:53.95]谁のよりも热かった
[01:57.02]その热いせいだったのだろう
[02:00.34]握っている掌から
[02:02.41]身内に浸み透ってゆくような
[02:04.93]その冷たさは
[02:06.84]快いものだった
[02:10.28]私は何度も何度も
[02:13.34]その果実を
[02:15.01]鼻に持っていっては
[02:16.34]嗅かいでみた
[02:19.16]それの产地だという
[02:20.37]カリフォルニヤが
[02:22.02]想象に上って来る
[02:26.21]汉文で习った
[02:27.90]「売柑者之言」の中に
[02:29.20]书いてあった
[02:31.18]「鼻を扑うつ」という言叶が
[02:33.55]きれぎれにかんで来る
[02:36.38]そして
[02:37.47]ふかぶかと胸一杯に
[02:39.95]匂やかな空気を吸い込めば
[02:43.07]ついぞ
[02:44.42]胸一杯に
[02:46.04]呼吸したことのなかった
[02:47.74]私の身体や颜には
[02:49.79]温が血のほとぼりが
[02:51.56]升って来て
[02:53.45]なんだか
[02:55.35]身内に元気が
[02:56.06]目覚めて来たのだった
[02:59.84]実际
[03:01.34]あんな単纯な冷覚や
[03:03.10]触覚や嗅覚や视覚が
[03:06.50]ずっと昔から
[03:08.48]こればかり探していたのだと
[03:10.51]言いたくなったほど
[03:12.22]私にしっくりしたなんて
[03:15.61]私は不思议に思える
[03:18.93]それが
[03:20.05]あの顷のことなんだから
[03:24.15]私はもう
[03:25.72]往来を軽やかな
[03:26.94]昂奋に弾んで
[03:29.18]一种夸りかな気持さえ
[03:31.57]感じながら
[03:33.92]美的装束をして
[03:35.16]街をかつぽした
[03:36.46]诗人のことなど
[03:37.54]模样べてば
[03:38.98]步いていた
[03:42.13]酔われた手拭の上
[03:44.04]卢せてみたり
[03:45.16]マントの上
[03:45.84]あてがってみたりして
[03:48.14]色の反映をはかったり
[03:50.66]また
[03:51.69]こんなことを思ったり
[03:55.47]つまりは
[03:57.07]この重さなんだな
[04:00.23]その重さこそ
[04:01.67]常づね寻ね
[04:02.44]あぐんでいたもので
[04:04.98]疑いもなく
[04:06.56]この重さは
[04:07.63]すべての善いもの
[04:09.99]すべての美しいものを
[04:12.25]重量に换算して
[04:13.17]来た重さであるとか
[04:15.96]思いあがった
[04:16.77]谐谑心から
[04:18.48]そんな
[04:18.89]马鹿げたことを
[04:19.88]考えてみたり
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[04:25.55]私は幸福だったのだ