[00:00.00]90听音乐网 www.90T8.com [00:00.68]その朝彼はベッドに [00:07.16]腹這いになりながら [00:09.42]大きく手を伸ばすと [00:11.26]消え去ってしまった [00:14.05]彼女の温もりを [00:15.64]探すことから始めてみた [00:22.14]中途半端に [00:23.94]使い古された衣類の上に [00:27.94]太陽の光は静かに [00:32.26]散らばっている [00:34.29]彼は ようやく開けた眼に [00:39.92]一番最初に焼きついたそれらが [00:45.45]今日を占うもののように思えたし [00:50.14]いや今日というよりも [00:53.98]彼の人生そのものを象徴しうる [01:01.23]一番大切な確かなものに [01:05.19]思えてならなかった [01:07.97]山のような労働 [01:10.77]こぼれ落ちるしたたかな汗 [01:16.27]彼は次に体のあちこちに [01:23.01]少しずつ力を配ることを始めた [01:26.76]時々 色々な思いに [01:30.07]力がまけてしまいそうになるが [01:33.64]主観性が客観性で [01:36.62]あることを認識すると [01:39.84]それからまた力を入れてみた [01:48.54]目覚めてから彼は [01:52.12]一度も呼吸を感じなかった [02:00.44]これが死かと思うほど [02:05.01]安らかな感覚は [02:08.72]やがて現実というものに [02:11.59]嘔吐しながら激しく突き刺さり [02:20.42]腹這いの彼の体が半分に [02:28.12]折れ曲がるような苦痛の中 [02:33.82]今日に生まれた [02:37.13]次に彼は太陽の光を [02:43.78]追いかけることを始めた [02:46.85]跳ね返ったり [02:49.14]吸い込まれてしまう [02:50.94]太陽の虚像は [02:54.76]彼の頭を混乱させ [02:59.85]彼がいかにのろまで [03:04.41]なんて間の抜けた人間かを [03:09.97]その度に思い起こさせてくれた [03:17.39]笑うことを失ったビルの残像は [03:26.10]幾度も重なり合い [03:30.16]埃のような自分の影を [03:37.21]見失いそうになった [03:41.14]彼が15本目のたばこに [03:45.57]火をつける頃 [03:48.16]太陽は沈みかけた [03:51.88]デコボコな地面に不器用に [03:56.32]建てられたビルの陰に [04:03.13]駐車違反の車は [04:04.37]飲み込まれてゆく [04:08.38]彼にとってそれらは [04:15.46]自分自身の行方を [04:20.05]象徴しているようでならなかった [04:26.26]物が壊れてゆく [04:28.54]小さな物音がこだまし [04:33.82]街中に響き渡っていた [04:44.57]彼のかざした手に [04:47.75]死がのしかかる [04:50.93]生きるという空しさに [04:56.18]涙がこぼれた [04:59.04]おごそかに [05:01.59]街の生け贅が捧げられ [05:08.18]太陽は沈んでゆく [05:12.03]人の心の欲望という奴を [05:17.97]彼は考える [05:20.84]ほんの少しでも [05:24.00]楽な姿勢を取るために [05:28.79]体をくねらせながら [05:35.37]彼は何度も何度も欠伸をした [05:45.41]欠伸をして伸ばした手の先に [05:51.58]しなやかな風をまさぐり [05:58.24]彼には何が始まりで [06:03.41]何が終わりなのか [06:07.41]すっかりわからなくなっていた [06:11.39]横たえた体の先には [06:18.08]まだ現実がひかかっていた
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[00:00.00]90听音乐网 www.90T8.com[00:00.68]その朝彼はベッドに
[00:07.16]腹這いになりながら
[00:09.42]大きく手を伸ばすと
[00:11.26]消え去ってしまった
[00:14.05]彼女の温もりを
[00:15.64]探すことから始めてみた
[00:22.14]中途半端に
[00:23.94]使い古された衣類の上に
[00:27.94]太陽の光は静かに
[00:32.26]散らばっている
[00:34.29]彼は ようやく開けた眼に
[00:39.92]一番最初に焼きついたそれらが
[00:45.45]今日を占うもののように思えたし
[00:50.14]いや今日というよりも
[00:53.98]彼の人生そのものを象徴しうる
[01:01.23]一番大切な確かなものに
[01:05.19]思えてならなかった
[01:07.97]山のような労働
[01:10.77]こぼれ落ちるしたたかな汗
[01:16.27]彼は次に体のあちこちに
[01:23.01]少しずつ力を配ることを始めた
[01:26.76]時々 色々な思いに
[01:30.07]力がまけてしまいそうになるが
[01:33.64]主観性が客観性で
[01:36.62]あることを認識すると
[01:39.84]それからまた力を入れてみた
[01:48.54]目覚めてから彼は
[01:52.12]一度も呼吸を感じなかった
[02:00.44]これが死かと思うほど
[02:05.01]安らかな感覚は
[02:08.72]やがて現実というものに
[02:11.59]嘔吐しながら激しく突き刺さり
[02:20.42]腹這いの彼の体が半分に
[02:28.12]折れ曲がるような苦痛の中
[02:33.82]今日に生まれた
[02:37.13]次に彼は太陽の光を
[02:43.78]追いかけることを始めた
[02:46.85]跳ね返ったり
[02:49.14]吸い込まれてしまう
[02:50.94]太陽の虚像は
[02:54.76]彼の頭を混乱させ
[02:59.85]彼がいかにのろまで
[03:04.41]なんて間の抜けた人間かを
[03:09.97]その度に思い起こさせてくれた
[03:17.39]笑うことを失ったビルの残像は
[03:26.10]幾度も重なり合い
[03:30.16]埃のような自分の影を
[03:37.21]見失いそうになった
[03:41.14]彼が15本目のたばこに
[03:45.57]火をつける頃
[03:48.16]太陽は沈みかけた
[03:51.88]デコボコな地面に不器用に
[03:56.32]建てられたビルの陰に
[04:03.13]駐車違反の車は
[04:04.37]飲み込まれてゆく
[04:08.38]彼にとってそれらは
[04:15.46]自分自身の行方を
[04:20.05]象徴しているようでならなかった
[04:26.26]物が壊れてゆく
[04:28.54]小さな物音がこだまし
[04:33.82]街中に響き渡っていた
[04:44.57]彼のかざした手に
[04:47.75]死がのしかかる
[04:50.93]生きるという空しさに
[04:56.18]涙がこぼれた
[04:59.04]おごそかに
[05:01.59]街の生け贅が捧げられ
[05:08.18]太陽は沈んでゆく
[05:12.03]人の心の欲望という奴を
[05:17.97]彼は考える
[05:20.84]ほんの少しでも
[05:24.00]楽な姿勢を取るために
[05:28.79]体をくねらせながら
[05:35.37]彼は何度も何度も欠伸をした
[05:45.41]欠伸をして伸ばした手の先に
[05:51.58]しなやかな風をまさぐり
[05:58.24]彼には何が始まりで
[06:03.41]何が終わりなのか
[06:07.41]すっかりわからなくなっていた
[06:11.39]横たえた体の先には
[06:18.08]まだ現実がひかかっていた